うつヌケ / 田中圭一
昔は「ドクター秩父山」のような下ネタ漫画などを描いて、最近だと漫画界の巨匠の絵柄を忠実に再現した下ネタ漫画等を描いている田中圭一氏。
その彼が10年にわたって「うつ」に苦しんでいたそうで、その時の体験を元にうつから抜け出した体験をマンガとしてまとめたのがこの「うつヌケ」。
田中圭一氏自身の体験だけでなく、同じように「うつ」に苦しみ、そして回復していった人たちへのインタビューも含めて様々な「うつ」の傾向とそこからの離脱の方法をまとめています。
結構売れているらしくて、何と昨日のNHKのニュースウォッチ9でもこの本の特集がされていました。
「うつ」に陥る要因は仕事のストレスだったり、幼少期の虐待や辛い経験だったり、人によって様々で一様ではなく、そこからの回復方法も人によって違うそうです。
なので、「仕事を辞める」事が回復のきっかけになった人も居れば、逆に「仕事をする(仲間から必要とされる)」事で回復した人も居て、本当に人それぞれ異なるんだと言う事がよく分かります。
ただ、全体を通して言えることはとにかく
「自分を好きになる」こと
自分に自信が無い、自分に存在価値がない、と思い込んでしまうこと自体が「うつ」へのトリガーとなってしまうことが多いそうで空元気でも何でも自分を好きになることがやはり大事なのだとか。
田中氏もこの本で述べているけど、彼は医師ではないので医学的な治療法などを述べているわけではない。ただ、彼自身も含む「うつ」から抜け出した人たちの体験をまとめることで、今「うつ」に苦しんでいる人たちの「うつヌケ」にほんの少しでも助力になれば、と言う気持ちでこの作品をまとめることにしたんだとか。
自分はここに描かれている人たちほど深刻な状態になったわけではないが、一時は本当に気分が落ち込み、仕事に行くのが辛くて辛くてたまらない時期もあった。
私自身が「うつ」に苦しむ人たちの気持ちが分かった、等と上から目線で言うつもりは無いけど、一人でも多くの人がこの本を読んで「うつ」から救われる事を切に願っています。