Re:RXJ Station

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楽園追放

 

 当初はそんなに興味が無かったのですが、やたらと評判が良かったのでBD買ってしまいました。

 


楽園追放 Expelled from Paradise 2014 アニメ映画予告編 ...

 

など、スタッフ、キャストはなかなかの豪華メンツ。ちなみに予告編には出てこないけど、演出に京田知己(エウレカセブン)や、友情出演で古谷徹(アムロ、星矢)なども居たりする。

 

あらすじはこんな感じ

ナノハザードにより廃墟と化した地球。人類の98%は地上と自らの肉体を捨て、データとなって電脳世界「ディーヴァ」で暮らすようになっていた。

西暦2400年現在、その「ディーヴァ」が異変に晒されていた。「フロンティアセッター」と名乗る謎の存在による「ディーヴァ」へのハッキングを地上世界から受け、捜査官アンジェラは生身の身体・マテリアルボディを身にまとい地上世界へと降り立つ。

現地の地上捜査員ディンゴと共に、謎のハッカー「フロンティアセッター」と世界の謎に迫る。

 

 何というか、良くも悪くも80〜90年代のSFアニメを彷彿とさせる単語の数々。

 

と言うか、この作品を観るきっかけとなったのがネットで見かけた

「グレッグ・イーガン好きなら観ておくべき」

と言う評があったため。自分自身はSF小説、特にグレッグ・イーガンは大ファンであり、邦訳された作品は全て読んでいる。

 

順列都市〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

順列都市〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

 
祈りの海 (ハヤカワ文庫SF)

祈りの海 (ハヤカワ文庫SF)

 
ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)

ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)

 
万物理論 (創元SF文庫)

万物理論 (創元SF文庫)

 
宇宙消失 (創元SF文庫)

宇宙消失 (創元SF文庫)

 

人間が肉体の身体を捨て、電脳空間で生活をすると言うのは「ディアスポラ」など多くのイーガン作品の根本とも言える概念。

 

電脳世界「ディーヴァ」では、各個人の地位や資産に応じてメモリー(演算リソース)が割り当てられる、と言った設定はイーガンの「順列都市」にみられる基本設定(と言うか、現実世界でもスパコン「京」のリソースは企業などが時間と金額を負担し合って融通していると言う意味では同じと言える)。

 

確かに「イーガンっぽい」と言われれば、確かに基本設定「だけ」はイーガンっぽいかも。

 

ただ、やはり極限まで人の「自我」を見つめる事を徹底的に掘り下げたイーガンの作品群と比べると、この「楽園追放」に関してはその点に関しては薄っぺらいと言わざるを得ない。

電子化された人類に対する飽くなき知識の拡大と言った描写は特になく、人類は「ディーヴァ」という「楽園」での生活に惰眠を貪ると言った程度。

 

結末はネタバレになるので言えませんが、結論だけ見るとどちらかと言うと「イーガン風」と言うよりは「超人ロック風」な感じがした。

ロック読んだ人じゃないと分からないかもしれないけど「ソングオブアース」におけるトレス皇女の運命に近い、と言うか・・・わからんか。

 

 

 

ただ、この作品に関してはそこ自体には大した主眼は無く、普通に「メカと少女とダンディのアクションもの」として見れば、極上のエンターテイメント作品だと言えると思う。

 

シナリオについても虚淵脚本にしては捻りは少なく、さほど頭を悩ませることもなく最後まで見ていられる。

 

「全編3D CG」と言うのも数年前ならあくまでも「実験作品」的な色合いが強かったけど、これに関してはあくまでも表現技法の一つとして自然に取り入れられているようで、違和感は感じない。

 

さすがにディズニーのような超ハイクオリティのCGと比べれば見劣りはするけど、「日本のアニメ絵」のCG化としては、こう言うのもアリかな、とは思う。

 

SFだからと構えずに、素直にエンターテイメントとして見るならとても良い。

ハードSFを期待すると拍子抜け、そんな感じ。