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(書評/SF小説) 虎よ、虎よ!/アルフレッド・ベスター

 

虎よ、虎よ! (ハヤカワ文庫 SF ヘ 1-2)

虎よ、虎よ! (ハヤカワ文庫 SF ヘ 1-2)

 

 以前から読みたいと思っていて、中々書店で見かけられなかったベスターの「虎よ、虎よ!」

電子書籍化もされてないので書店で見つけるしかない。

 

ベスターが「モンテクリスト伯」のプロットを元にした復讐譚をSFとして書き上げたもの。

 

初版の発行が1956年だそうなので、ほぼ60年前の作品。

 

舞台は、殆どの人間が移動場所を思い描くだけで瞬間移動(ジョウント)出来ることが当たり前となった世界で、主人公のガリー・フォイルは宇宙船の事故で漂流し約半年近くも孤独な環境に閉じ込められる。

近くを通りかかった宇宙船「ヴォーガ」に救助を求めるが、救助されずに放置されてしまう。その事にフォイルは強い復讐心を抱く。

 

後書きにもあるが、著者のベスターは一時アメコミ(スーパーマンとかあったので恐らく今のDC系と思われる)のシナリオを担当していた事もあったとかで、その影響かこの小説も強く「映像」を意識させる様な表現が多い。

 

購入時の帯書きに小島秀夫(メタルギアシリーズのプロデューサー)のコメントで

「この作品が映像化、ゲーム化していないのは損失だ」

みたいな事が書いてあったけど、確かにこのまま映画化やアニメ化しても良さそうな位映像化しやすそう。

 

序盤から中盤にかけてはフォイルの執拗なまでの復讐譚でジェットコースター的にどんどんストーリーが進んでいくけど、

「んー、面白いけどこれSFである必要あるか?と言うか「ジョウント」の意味あるか?」

と思っていましたが、読み進めていってクライマックスまで読んだら終盤の怒濤の展開が凄すぎた。最後の最後でいきなりハードSFに突入する。

ぶっ飛びすぎて面食らいましたw

こう言う展開は嫌いじゃないです。

 

ただ、一つだけ言えるのは「フォイルが復讐心を抱く動機がちょっと弱すぎ」かなぁ。

そこさえ目をつぶればエンターテイメントSFとしてはかなり楽しめる小説です。