騙されないための世界経済入門
- 作者: 中原圭介
- 出版社/メーカー: フォレスト出版
- 発売日: 2010/11/22
- メディア: 単行本
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古本屋で買ってきた。
正直、世界経済って分かってるようで分かってないので良い勉強になりました。
2010年の末に出た本らしく、当時の世界事情を踏まえて
- 米国経済のゆくえ
- 欧州経済のゆくえ
- 中国経済のゆくえ
と言う切り口で、各地域の金融、財政状況を説明している。
・米国の環境経済は既に崩壊、財政再建に行くしかない
・住宅価格の上昇に依存していた米国の一般消費は住宅バブル崩壊で転機を迎えている
・肥大化して実体経済から解離した金融経済との不均衡を是正しない限り米国経済は長期低迷する
・CO2排出権取引で新たな環境経済の中心的立場をになおうとしていた欧州
・サブプライム問題やリーマン・ショック打撃を受けたのは米国よりもむしろ欧州
・ギリシア危機などで深刻な打撃を受けたEU、ユーロ市場は当面は財政再建重視路線
・中国はGDPに占める個人消費が少ないため金融政策による経済統制がきわめて有効
・中国沿海部の経済成長は一段落、今後は内陸部の開発を進め貧富の差を減らす方向へ舵取り
・中国は健全に経済成長を続けており今後5年単位では不安要素は少ない
・ただしそれ以降は人件費の高騰や人民元の上昇などに伴い次第に「世界の工場」としての労働市場としての魅力は薄れる
・豊かになった中国人民が民主化を訴えたり、一人っ子政策による労働者人口の現象など10年以上先の中国は不安要素が多い。
10年、20年前と異なり、現在は世界中の経済、金融が密接につながっており、一つの地域の経済・金融の出来事が世界中の景気や経済に瞬く間に影響を及ぼしているんだ、と言うことを細かく説明してくれている。
印象に残った言葉として
「景気は理論で動くのではなく、人間の心理で動く」
いくら、量的緩和や国債発行を繰り返しても、それが個人消費を促す
「物を買いたい」と思わせる方向に向かないと景気は回復しない、ということ。
若干著者の恣意的な見解が気になるが、今の世界経済で何が起きているのかを知るにはとても良い本だと思う。