攻殻機動隊 S.A.C Solid State Society 3D
劇場版サイト
攻殻機動隊の連続シリーズとして作成されてきたS.A.C(Stand Alone Compex)シリーズの第3弾として長編作品として作られたSolid State Societyを3D化して劇場版にしたもの。
元々自分は攻殻機動隊に関しては、まだ押井守監督のGhost In The Shellなんて影も形も話題がなかった頃から知っていて、何度も何度も原作を読み直していた。どちらかというと攻殻ファンというよりは原作者の士郎正宗ファンと言っても良い。
攻殻機動隊の原作に関して言うと、全体を通していえるのは電脳化と義体というギミックを使用することで「自我とは何か」「人が人であるための境界線はどこまでなのか」と言うアイデンティティのプリミティブな追求だったと思う。
この点に関して言えば、SACシリーズよりも劇場版の「Ghost In The Shell」や「イノセンス」の方がまだ原作に近い。
SACではどちらかというと「個の総体としての組織(9課)」の役割と「様々な現実の社会問題をメタファー化した政治・官僚組織の問題」を掘り下げた作品だと思う。
それはそれで悪くはない。実際、SACシリーズはよくできた政治サスペンスだと思うし、そこに電脳化、義体化をうまく使っていると思う。そういう意味では非常に高度な手間暇をかけられた作品だと思う。
今回の劇場版であるSolid State Societyですが、既に一度映像化されており、今回は3D化しただけなので新作というわけではない。私も一度みているので内容は既に知っている。
「崩壊した外国からの難民受け入れの問題」「深刻化する少子高齢化」と言う問題をベースに少しずつ謎が解けてくると言うストーリーテリングは非常にすばらしい。
ただ、ただね。私にとってはSACシリーズはオリジナルの「攻殻機動隊」(原作)とは別物だと思っているんです。それぞれキャラクターと設定は大体同じだけど、語られるストーリーや指向が異なるので別物だと考えています。
どちらが良いとか悪いとかではなく、別物だと思ってます。
だから、SACには必要以上に原作を意識させないでほしいんです。
原作ファン向けのサービスなのかどうかわからないけど、時折SACにはあからさまに原作そのままのシチュエーションや台詞が出てきます。(SSSに限らず)
今回のSSSでは、クライマックスの「傀儡廻とは誰か」という所の大事なシーンが、残念ながら画面構成から台詞の一部まで含めて原作1巻のラスト「人形遣いと草薙素子の邂逅」の部分にそっくりなんですよ。
全然異なるストーリー、異なるシチュエーションなのにいきなり原作の劣化コピーのようなシーンを見せられると原作で同じ所を読んだときの感情とSACのシーンとの違和感が気になってしまい、少し残念な気分になります。
SACには下手に原作を意識せずにオリジナルで突っ切ってほしかった。
そこだけが残念。
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