Re:RXJ Station

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天地明察/冲方丁

一応kindle版上下巻併せて、天地明察読み終わりました。

囲碁棋士の名家、安井家出身で有りながら算術の美しさに魅せられた、安井算哲こと渋川春海の半生を描いた作品。

上巻では主に日本各地をまわり天体観測をしながら正確な測量を行う北極出地までの話が主。

そして下巻では、会津藩保科正之の命を受け、改暦(暦の改訂)を行う為に奔走する話が展開される。

天の星々の美しさに魅入られながらも、本業である囲碁打ちとしての仕事、そして元来の算術好きから、稀代の算術師である「関孝和」に憧れる姿も織り交ぜつつ様々な人間が春海を中心に動いていく。


天体や算術の内容については正確さに欠けると言った指摘もあるようですが、この物語の本質はそこにあるのではなく、いかに春海が算術に、天体に魅了されていったのか、そしてそれらに誠心誠意、全霊を賭けて取り組む事への美しさを丹念に描いたところに魅力があるのだと思う。


少し残念なのは、後半の改暦の話になると展開が急激に早くなり駆け足であっという間に数年が流れてしまう。
前半の北極出地では丹念に丹念に描いていたのが後半に行くほど描写が雑になってしまったのが惜しいです。