Re:RXJ Station

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閃光のハサウェイ 読了

機動戦士ガンダムシリーズの原作の中で、これまで映像化されていなかった作品の一つだった「閃光のハサウェイ」。

内容が内容だけに、アニメ化は困難とみられていたけど、何とガンダム誕生40年を記念した「UC NexT 0100」プロジェクトの一環で3部作の劇場作品として初映像化することになったそうです。

gundam-hathaway.net


Mobile Suit Gundam Hathaway's Flash Trailer

実はこの作品、存在は知っていたけど原作を読んでいませんでした。 暫く前に、Amazon kindleガンダム系作品が一挙値下げされていた時に買っていたのですが、ようやく読んでみました。

ネタバレを含むので、未読の方はご注意を

あらすじ

ブライト・ノアの息子であるハサウェイ・ノアは、第二次ネオ・ジオン抗争(シャアの反乱)の最中に、アムロ・レイシャア・アズナブルと出会い、そこで出会った少女のクエス・パラヤに心を惹かれていく。

エスはシャアの思想に共感し、ネオ・ジオンの抗争の中で巨大MAのα・アジールに乗り込むが、戦場でハサウェイの乗るジェガンの誤射によって戦死してしまう。

自分が慕うクエスを自ら手にかけて殺害してしまったことが深いトラウマとなったハサウェイは地球に降りて、植物監察官として活動していたが、その活動の中で知り合った関係から「マフティー・ナビーユ・エリン」と名乗る反地球連邦の反体制組織の存在を知ることになる。

ハサウェイは「シャアの反乱」での出来事から、シャアが追求していたスペース・ノイドの解放と地球を保全すべきと言う思想に次第に傾倒するようになり、マフティーの活動に参加。 次第に頭角を現し、組織の表向きのリーダーとして「マフティー・ナビーユ・エリン」の名を体現する存在となる。

マフティーは、腐敗した地球連邦政府の幹部だけを粛清する。 アデレートで行われる、地球連邦中枢部の会議を襲撃するためにハサウェイは地球に降りる。

ハサウェイは、アムロからガンダム(Ξガンダム)を、シャアからは彼の思想を受け継ぎテロリズムの活動に身を投じていく・・・

感想

1stガンダム以降の歴代ガンダムの中でも存在感の高い、歴代戦艦の艦長でもあるブライト・ノアの息子のハサウェイ・ノアが主人公で、人気の高かった「逆襲のシャア」の後の時代を描いていると言う意味でも「宇宙世紀(UC)ガンダムの総決算」とも呼べる位置づけにあったこの作品。

ただ、「逆襲のシャア」の原作には実は二種類ある

基本的なストーリーは殆ど同じだが、細かい部分にいくつか違いがあったりする。

ただ、その中でも大きな違いの一つとして「クエス・パラヤの最期」が異なる。 前者(ベルトーチカ・チルドレン)では、ハサウェイがクエスを撃墜したことになっており、後者(ハイストリーマー)ではチェーンが撃墜したことになっている。

閃光のハサウェイ」は前者「ベルトーチカ・チルドレン」のストーリーを受けており、ハサウェイが自らクエスに手をかけたことに深く苦悩する様が描かれている。

地球に降下する際の襲撃事件で、知り合うことになる地球連邦の司令官であるケネス・スレッグと本作のヒロインであるギギ・アンダルシアの3人を中心にして物語は展開していく。

ケネス・スレッグはあくまでも司令官であり、彼自身がモビルスーツに搭乗して戦うシーンは結局出てこない。あくまでも指揮官として物語に関わるのでガンダムシリーズの主要人物の中では比較的珍しい存在。

そして、ギギ・アンダルシアは大富豪の私娼(愛人)でありながらも、自身の高い感性と類い希な予知能力とも言えそうな状況推察力を発揮して、ハサウェイ(マフティー)とケネス(地球連邦)を行ったり来たりする。そう言う意味では、クエス・パラヤを思い起こさせる存在でギギの存在もハサウェイの心を揺り動かすような描写もある。

物語が始まった時点で、ハサウェイは既にマフティーの中心的な存在になっており、彼がどうしてそのような立場に至ったのかは、あまり多くは触れられていない。 ただ、クエスを失った苦悩や後悔は乗り越えられておらず、マフティーと言うテロリズムの活動の中で自らの贖罪として危険と死を選んでいくような雰囲気にも感じられた。

書籍としては上中下巻の3巻構成になっているが、ガンダムシリーズとしては比較的モビルスーツ戦の描写は決して多くないどころか物語の大半は地球圏なので、宇宙がそもそも出てこない。

終盤ではマフティーの勢力により、アデレートでの地球連邦首脳陣の会議を襲撃が決行されるが、大きな損害を与えることに成功するも、Ξガンダムに乗ったハサウェイはケネスの作戦によるバリアーにより活動停止され、捕らえられ、最終的にマフティーの象徴として銃殺刑にされる。 主人公が、銃殺刑により死亡するというなんとも後味の悪い結末。

そして、父であるブライト・ノアは最後まで自分の息子がテロリストのリーダーで有ることを知らなかった。

後に暴露記事によってマフティーの正体がハサウェイであることが世間一般にも知れ渡ることになるが、作中でその後のブライトの心情が描写されることは無かったが、正直ブライトやブライト一家のその後を想像するととてもいたたまれない心境になる。

マフティーが反政府組織によるテロ活動である以上、この様なバッドエンドにせざるを得なかったとは言え、歴戦の勇士でもあるブライト艦長があまりにも気の毒すぎる結末だ。

ハサウェイが捕縛された後、処刑されるまでの描写は読んでいても辛く、涙が出てしまいそうになるほど。 数あるガンダム作品の中でも、最も後味の悪い作品と言えそう。少なくとも落ち込んでいる時に読む作品では無い。

三部作で映画化されるらしいが、果たしてどのように映像化するのか期待と不安が入り交じっている。

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