サイロ化し、シュリンクするインターネット
インターネットが普及する前、個人が参加できるネットワークと言えばクローズドだった。
NiftyServerやCompuServeと言った商用パソコン通信の他、個人でホストをたてる草の根パソコン通信なんてのもあった。
やがて、個人でもISPを経由してネットワークに繋げられるようになり、日本中、世界中のサイト、サービスに簡単に繋げられるようになった。
多くの人達と簡単に繋がれるようになった。
不特定多数の人達が匿名で好き勝手に書いたり読んだり出来る2ちゃんねるは、自由なネットインフラの最たるものだろう。
ところが、その中からFacebookを始めとした実名、かつクローズドSNSにはじまり、知り合い同士だけが繋がるLINEのようなメッセージングサービスが興隆するようになってきた。
そんな時代の変化をうまく取り上げたコラムがあった。
山田祥平さんと言えば、私が中学生くらいからパソコンの入門書などを手がけている、この業界のライターとしてはかなり古参の方だが、今でも示唆に富む見解やコラムを継続して書き続けている素晴らしい方だ。
週一でコラムを掲載しているこのコーナーではLINEが新しく発表したMVNOサービスのLINE MOBILEを取り上げている。
このサービスはLINEの通信に限って容量制限無く使い放題となるもの。
LINEの通信かどうかを判断するためのパケット解析などのプライバシー、セキュリティ的な課題も有るが、やはりキモはこれだろう。
また、インターネットは世界中に散在するサービスを等しく平等に参照できる中立性の高いサービスとしてコマーシャルベースに乗ってきたわけだが、その原則にもちょっとした影響を与えることになるだろう。
ユーザーによっては、LINEから一歩も出ずにスマートフォンを使う層も出てくるだろう。巷にはLINEアプリをスマホのシェルにするライフハックも流通するかもしれない。ウェブへのリンクがあっても、それをクリックするとコストが発生するから絶対にクリックしない。メールも読まないといった具合だ。
本来は誰とでもどことでも繋げられるインターネットのメリットを敢えて捨ててまで、コスト軽減のため敢えて閉じたネットワークのサービスのみを受ける事が本当に健全な市場なのか。
インターネットが個人に普及するようになってから20年が経過して、結局閉鎖されたサイロ化されたネットワークに人は回帰していくのか・・・
一方でこんな話題もある。
パケット代がかかるから音楽は敢えて聴かない。
最近の中高生は、CDを買わない、ネットでも買わない、定額聴き放題サービスすら使わない。
Youtubeやニコニコでタダで聴ける範囲でしか音楽を聴かない、ところがストリーミングはパケットを大量に消費するのですぐにパケットの上限に達してしまう、だから音楽を聴かない。
自分には全く理解できない価値観。聴きたい音楽があればCDでもオンラインでも買う。それが当然だと思っていた。
確かにお金の無駄遣いはすべきでは無いが、あまりにも金を節約しすぎて消費すらしなくなったら、それは経済活動のシュリンクだし、文化自体の衰退だ。
よりクローズドに、より小さい規模に縮小していく今の若者のネット活用にに明るい未来は描けるのだろうか。