重力をテーマにした映画を2つ観た
偶然、「重力」をテーマにした映画が複数有ったので良い機会なので両方観てきました。
まずは、「ゼログラビティ」
Gravity - Official Teaser Trailer [HD] - YouTube
宇宙空間でハッブル宇宙望遠鏡の修理ミッションをこなしていたライアン博士(サンドラ・ブロック)とコワルスキー飛行士(ジョージ・クルーニー)。
が、突然発生したロシアの衛星破壊に伴うケスラーシンドロームにより、突如スペースシャトルから切り離され、何も無い宇宙空間に放り出されるところから始まる。
空気も重力も無い宇宙空間に放り出され、狼狽するライアン博士と対照的に冷静にトラブルに対処するコワルスキー。
事前の評判では「無重力の表現が凄い」とか「映像を見て酔った」とか色々映像面での評価があったが、確かに映像は凄かった。
上も下も方向が全くない、慣性に流されるだけの宇宙空間。
そして、宇宙空間にあふれるデブリの脅威。それらが見事に再現されている。殆どCGらしいんだけど、充分リアルでした。
ただ、個人的に驚いたのは無重力の表現そのものよりも、全体のカット割りの異様な少なさだった。
アバンタイトルから、シャトルへのデブリ衝突、無重量空間にライアン博士が放り出される・・・・延々とカメラアングルをゆっくりと切り換えるだけで、全くカットが切られていない。
90分近い映画なのに明確にカットが切られていると感じたのはほんの数回。
それ以外は殆どリアルタイムに進行する。このことにより緊張感が途切れること無く延々と続く。これが凄かった。
正直言うと、中盤~終盤にかけてのトンデモ展開は若干引いてしまったが、それでも全体的な完成度はとても高いです。
序盤にグロい映像があるのと、終始無重力映像による浮遊感で気持ち悪くなる人が居るかもしれませんが、映像的に耐えられる人はオススメ。
もう一つはアニメーション映画の「サカサマのパテマ」
劇場版アニメ「サカサマのパテマ」予告編PV - YouTube
「イヴの時間」で一躍有名になった吉浦康裕監督の作品。
かつてあった大事件で「空に罪人が落ちていく」状態に陥り、空を忌み嫌うようになった「アイガ」の人々。社会に憂鬱を感じていたエイジの目の前に、サカサマになって落ちていく少女パテマが現れる。
エイジとパテマは重力の働く方向が逆になっており、お互いが支え合わないとどちらが落ちて行ってしまう。
アイガの世界はもう典型的なディストピアで徹底的な管理社会。まるでオーウェルの「1984年」の世界そのまま。
そして、エイジとパテマの出会いはまさにボーイミーツガール。
一見交わらないこの二つを見事に融合させている。
設定の勝利みたいな作品だけど、ストーリーも実に緻密で面白い。
正直なところ、じっくり見ていると途中で展開が分かってしまい、ラストの展開も実は予想が出来た。そう言う意味ではあまりどんでん返しはない。
重力の方向の違いによる行き違いや勘違い、ちょっとした表現が面白かったです。
期せずして同じ時期に公開された「重力」をテーマにした2作品。それぞれ全く違う切り口ですがとても楽しめました。