映画 言の葉の庭
劇場アニメーション『言の葉の庭』 Blu-ray 【サウンドトラックCD付】
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2013/06/21
- メディア: Blu-ray
- クリック: 5回
- この商品を含むブログ (25件) を見る
『言の葉の庭』 予告篇 "The Garden of Words" Trailer - YouTube
独立系のアニメーション作家として有名な新海誠氏の作品。
前作の「星を追う子ども」も劇場で観たのだがこっちはかなり個人的には微妙だったので、正直言うと今回の「言の葉の庭」に関しては少し不安に思っていた。
けど、そんな心配は無用だった。
まさにこれこそ新海誠の真骨頂と言っても良い!!
舞台は現代の新宿(と言うより殆どが新宿御苑)
主人公は靴職人になることを夢見る高校生のタカオ。
雨の日の午前中は授業をサボって新宿御苑のあずまやで自分の理想の靴のデザインを考えている。
そんなあずまやにある日あらわれたのが、昼間からビールを飲み、チョコレートを食べる謎の女性(ユキノ)
二人は雨の日の午前中だけ、その場所で出会う不思議な関係になっていく。
そして、梅雨が明けた後二人はなかなか出会わなくなっていくが・・・
これ以上はネタバレになってしまうので言いませんが。
はっきり言えば、大きな事件もないし、何か凄いことが起こるわけでは無い。
本当にどこでも居る高校生と、どこにでも居る人生に疲れた大人の女性の淡く切ない恋物語で有り、単純にシチュエーションだけを考えればアニメで作る必要なんて全くないのですが・・・
だとしても、いや、だからこそ、この作品はアニメーションで作る必要があったと思う。
この作品は雨が重要なキーとなっているので殆どのシーンが雨だったりするわけですが、新海誠氏の異常に描き込まれた繊細で緻密な映像描写で雨に濡れる新宿御苑の風景がとても美しく描き出されています。
雨のしずくが石畳に当たるところ、雨と風に揺られる木と葉、それら全てが
自然ってこんなに美しかったのか
と思わせるほどです。
そして、二人の淡く切ない心の動きを、ゆっくり、時間をかけて丹念に描いており、次第に二人に感情移入してしまう。
そして、最後互いの思いをぶつけ合う二人。思わず泣きそうになってしまいました。
正直、前作の「星を追う子ども」では、登場人物の感情を追うよりも、ひたすらストーリーを消化することに忙しくて時間の割りにあまり一つ一つのシーンが印象に残らなかったけど、今回の「言の葉の庭」では殆どストーリー的なものは無く、ひたすら二人の感情と心の動きを描くことに専念しているのでむしろこちらの方が伝わる物が多かった。
やはり新海さんはこう言う繊細な心の動きを描く作品の方が合ってると思う。
そして、最後のシーン。普通の映画監督だったらここで何らかのケリを付けるんだろうけど、この映画では敢えてケリはつかない。これも新海さんらしい終わらせ方だと思った。この映画の先がどうなるのかは、観た我々が考えれば良い。そんな想いを感じました。
とてもオススメです。