AVATARを見てきた
噂のアバターを見てきた。
地球人で先頭の負傷により下半身不随となった海兵のジェイク・サリーが、惑星パンドラに派遣される。
そこでは現地人である青い肌を持つナヴィと呼ばれる種族が生活していた。ジェイクは地球人とナヴィの遺伝子をあわせて作られた自分のアバターと呼ばれる体に自分の意識を融合させることで、彼らの生活に溶け込みナヴィの信頼を得ることを目的としたアバタープロジェクトに選抜されていた。
このプロジェクトに成功することで、高額の報酬と足の治療を約束されるはずだった。
アバターとなり、ナヴィの女性であるネイティリと出会ったジェイクは少しずつ彼らの生活に溶け込み、と同時に自然と共生するナヴィの生活に少しずつ惹かれ始めていく・・・・
っていうのが序盤の流れ。
が、たぶん察しのいい人なら、おそらく序盤30分見ただけでラストシーンまでのストーリーがおおむね予測できるはず。
そして、最後までその予想は裏切られない。ストーリーは極めてシンプルで特に難しい伏線もややこしい関係もありません。
物語の構図としては、
「傲慢な地球人が、自らの欲望のために未開の現地人に暴虐の限りを尽くす」
と言う、昔からアフリカやアジアへの植民を描いた映画やドラマなどでよくあった極めてわかりやすい構図。
3時間近い長時間の映画でありながらストーリーがシンプルなので特に困るところはないだろう。
ただ、個人的な感想としては、主役のジェイクを除いた他の登場人物の心理描写がいまいち弱くて行動が理解できないところがいくつかあった。
例えば、ジェイクとともにアバターのプロジェクトに参加する学者のノーム。
彼はアバタープロジェクトに参加することを心より喜び、事前にパンドラのことを勉強し尽くし、万全の準備を整えてきた。
当初はパンドラやナヴィのことを何も知らないジェイクを少し見下したような態度をとっていた。
が、ジェイクがいち早くナヴィの社会に溶け込み次第に成果を上げるようになってきたときに、一瞬嫉妬のような表情を浮かべていた。
彼がもう少しストーリーに関わってくるのかと想ったが結局最後までほとんど注目されることがなかった。
また、パンドラで鉱物採集の責任者をしているパーカー。常に株主の顔色をうかがってばかりの小物。
ナヴィの社会を踏みにじることに少しのためらいもないような素振りを見せつつ、殺害、襲撃には少しためらいも見せる。少しは考え直すのかと思いきや結局終盤は、軍隊の言うなりになってしまいほとんど存在感がなくなる。
全般的に登場人物が比較的多い割には一人一人が描けていない。何故彼らがその行動を起こすのか、理解できない動きをするところが多かった。
この辺は将来DVD/BD化するときにカットが追加されるのかなぁ・・・
はっきり言って映像はすばらしい。地球のそれとは大きく異なる光景はおそらくほとんどCGなのだろうがとても自然だ。
パンドラの植物はその多くが触ると動いたり、輝いたりする。
今回注目されているのが、最初からこの映画が3Dで見ることを前提にして撮影されているということ。
私が行った映画館でも3D上映に対応していた。
一つ注意したいのが、劇場によって3Dの投影方式が少し違うらしい.
ひと口に3Dと言っても、複数の上映方法があります。偏光タイプの『RealD』、左右の映像を高速で切り換える『XpanD』、これと似たタイプですが左右の映像をRGBの位相をずらすのが『Dolby 3D』。これらは見比べると、えっ、と思うくらいの違いがあります。
なんだそうです。私が見た劇場は「XpanD」でした。ちょっと大きな偏光グラスみたいなのを渡されてそれをかけてみました。
AVATARは3D映画ではあるものの、子供向けの映画ではないので、ことさら立体感を強調するような演出はあまりなかった。
画面からグワッと飛び出してくるような仕掛けはなく、どちらかと言うと手前への立体感よりも、スクリーンより奥の奥行きの立体感を重視した演出にみえた。
立体感の表示は控えめだったのであまり違和感は感じなかったが、残念だったのがXpanDのメガネが結構重かったこと。
途中でメガネを支える鼻が痛くなってしまい、しきりに位置調整をしてみなければならなかった。
渡されたグラスが、偏光で元の映像の光をかなり落としてしまうためか、スクリーンに実際に投影される映像は相当きついコントラストになっているようで、試しにグラスを外してみたところ直視できないほどまぶしかった。
3D映像は確かにすばらしいし、映画の可能性を切り開く新しい技術だとは想うけど・・・・
ちょっと家庭にまでくるのは少し壁がありそうな気がする。