Re:RXJ Station

RX-JUNのブログです。ガジェット系ニュース、テクノ系音楽、カメラ、バイクの話題、アニメ、英語、本や音楽のレビューなどをだらだらと駄弁ります

サマーウォーズ

観てきた。
サマーウォーズ公式ホームページ

前作の「時かけ」の大ヒットで一躍時の人になってしまった細田監督の最新作。
なるだけ事前情報を仕入れずに見に行ってみた。

やはり率直に「おもしろい」としか言いようがない。

既に作品がディズニーのように童話化してしまい、いわゆる「日本のアニメ」とは違うジャンルに過ぎ去ってしまった宮崎駿、そして作家性を極限まで追求し難解で一般受けしない方向に突き進んでしまった押井守のようないわゆる「大御所」とは違い、
監督自身の個性を出しつつもきっちりと「エンターテイメント」としての軸が全くぶれていない
と言う意味では、細田監督の才能は傑出していると思う。



全世界のありとあらゆる個人情報、社会システム、そして政治に至るまで「OZ」というネットワークシステムに接続された時代が舞台。
ふとしたことからこの「OZ」に異常が発生し、現実世界に思わぬ危機をもたらしてしまう。
その世界の危機を救えるのは、戦国時代から続く旧家「陣内家」の一族だけ!

無数のアバターが接続するネットワークの世界と、牧歌的な長野の田舎町の大家族、と言う相反する二つの世界を実にうまく使い分けている。

細田監督自身のインタビューにもあったが、決して安易なテクノロジー批判ではない。テクノロジーはテクノロジーで大事、家族は家族で大事。
説教くさいメッセージ性はあまりなく、とにかくエンターテイメントに徹している。

このくらい割り切っていた方が観ている方も余計に頭を使うことなく頭空っぽで楽しめる。

なんと言っても出てくるキャラクターがどれも味わいがあって、人間くさくて、それぞれの息づかいが聞こえてくる。

時かけの時もそうだったが、何気ない生活のシーンの一つ一つ、言葉遣いの端々に何ともいえないリアリティがある。映像的なリアリティではない「キャラクター」としての暖かみがリアルなのだ。

主役の健二と夏希の高校生らしい初々しさだけでなく陣内家の栄婆ちゃんの気概と懐の広さ、複雑な家族関係の陣内家の面々。本当に長野に行けばこんな大家族の一風景が見られそうな、何ともいえないリアルさがとても良い。

後半にいけばいくほどどんどんスケールが大きくなり破天荒になっていくのだが、そんな無茶苦茶なストーリーでも一人一人のキャラがしっかり描かれているので最後まで破綻していない。

間違いなく細田守は「確実におもしろい映画を作る監督」としての地位を確固たるものにしたと思う。

気が早いが早く次の作品を観てみたい、と思った。