映画「インセプション」
「インセプション」公式サイト
クリストファー・ノーラン監督の最新作、「インセプション」を見てきた。
人の心理をこまめに描写する映画で定評の高いノーラン監督。
彼の手がけた「メメント」を見た時の衝撃は凄まじかった。
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この映画で取り上げられているのは人の見る「夢」
人間が一番無防備になる「夢」の世界に侵入し、情報を盗むのがディカプリオ演じるコブの仕事。
ある理由から、コブは「夢」から情報を盗むのではなく逆に情報を植え付ける(インセプション)の仕事の依頼を受ける。インセプションは難易度が高く強い専門性が求められることになるため特殊な能力を持つ仲間集めに走る・・・
と言うのが序盤の流れ。
全編を通して「どこまでが現実でどこからが夢なのか」が非常に曖昧になっているのがこの映画の見所。
「現実と夢(又は仮想の世界)が交錯する」
と言う話のネタは実にいろいろな所で見かけるいわゆるありきたりなネタだ。
押井守監督の初期の代表作といっても良い映画。文化祭の一日前という同じ時間を延々と繰り返す世界に取り込まれたあたる達。それはあるものが望んだ永遠に続く夢の中の世界だったと言う設定。
現実と夢の交錯した映画が元々得意な今敏監督の映画。あるアイドルグループから独立した一人の女優/アイドルが夢とも現実とも分からない世界で襲われていく。これもある女性の嫉妬とも羨望とも言えない妄想から生まれた幻想だった。
第3部、夢の世界を操るスタンド「死神13(デスサーティーン)」。寝ているスタンド使いを本体の夢の世界に取り込み、攻撃することが出来るスタンド。本体の夢なのでほぼ何でも好き勝手に出来ると言うほぼ何でもあり、な世界。
以前テレビ放送されたアニメ。40年以上前の記憶を誰一人持っていないと言う謎を持つパラダイムシティで巨大ロボ、ビッグオーを駆るロジャー・スミスの物語、と言う風に見えるが1stシーズンでは明かされなかった世界の秘密が2ndシーズンで暴かれ、結局パラダイムシティの存在自体が妄想によって作られた劇中劇設定だったというとんでもないオチ。
夢、と言うわけではないが今まで1980年代の東京だと思っていた世界が遠い未来の宇宙船の中だったという設定。
- マトリックスシリーズ
既に有名ですが、多くの人間がコンピュータの統制下で眠らされコンピュータの作り出した仮想世界で生活していることに気づいていない、と言う設定。
すんません、殆どアニメ・マンガしか出ていませんが実際には他にも似たようなケースは一杯あるはず。
まぁネタそのものは新しくないと言えます。
ただ、このインセプションが面白いのは「夢」の世界をよく分からないものではなく(この作品内の独自のルールで)体系化、理論化してそれをストーリーの中に巧妙に取り込んでいるところ。
- 一人の夢の中に複数の人が入り込み、共有することが可能
- トラウマや自我が強い人間が他人の夢に入り込むと夢自体に影響を及ぼすことがある
- 夢は多層に渡って潜ることが可能
- より「深い」階層に行くほど時間の経過が速くなる
- 夢の世界で死ぬか、より上位の世界から「キック」を受けることで上位の世界に戻ることが出来る
いわゆる「夢の世界のルール」が割と複雑でわかりにくいので、映画の序盤ではこの「ルール」を説明することに時間を割いています。
そこで重要な役割を担うのが今回の「インセプション」プロジェクトメンバーの紅一点、アリアドネ。
この名前を聞いた時「あれ?どこかで聞いたことあるな」と思って後で調べてみたら、ギリシア神話の女神の一人で、迷宮を脱出する際に使用した「アリアドネの糸」で有名なあれでした。
(ちなみにNDS用のゲーム「世界樹の迷宮」シリーズでは迷宮から脱出して街に戻るためのアイテムとして「アリアドネの糸」が登場していますw)
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アリアドネは優秀なアーキテクト(設計者)として夢の世界の迷路の設計、構築に携わる新人としてコブから夢の世界のルールを教わります。
ギリシア神話では迷路から脱出したアリアドネがこの映画では迷路を作り出す、と言うのが微妙な暗喩になっているようななっていないような・・・
夢の世界なら、それこそマトリックスのネオのように、物理的な制約を受けることなく何でも出来るように見えて意外に制約が多いのが笑える。
例えば、
- 上位の世界で夢の主が水をかけられると、夢の中の世界も洪水になる。
- 上位の世界で体が揺らされると、夢の中の世界も重力異常が発生する。
といった感じ。
物語ではある男性に、夢の中であるアイデアを埋め込み潜在意識の中で自分の会社を解体させるように仕向けると言うのが目的になる。
プロジェクトのメンバーは
- コブ(ディカプリオ)・・・全体の総指揮
- アーサー・・・コブの古くからの相棒
- アリアドネ・・・アーキテクト、夢の世界の設計
- イームス・・・変装の達人
- ユスフ・・・夢の世界を安定させる調合師
- サイトー(渡辺謙)・・・今回の仕事の依頼人
の6人。実際には渡辺謙演じるサイトーの依頼ではあるが、全体を通してみるとサイトーのストーリー自体は実はどうでも良いマクガフィンであり、コブと亡くなった彼の妻のモル(マリオン・コティヤール)との間の物語が主軸であることが分かる。
ストーリー終盤の次々と夢の中へ潜っていくシーンは映像的にも圧巻で、まさに今までの映画とは一線を画す独特の映像世界を作っている。
が、終盤はやや強引な展開になって「夢のルール」がややないがしろになって、勢いに任せたツッコミどころの多い内容になっていたことは否めない。
また、序盤では存在感バリバリだった渡辺謙が後半では殆どストーリーに絡まなくなり、殆ど空気になっているのが少し残念。
ただ、夢の階層間のつながりと、各階層でのエージェント達の活躍、そしてそれぞれが異なる時間軸で動く複雑な内容を多少強引ながらも一つにまとめ上げたその力量は凄いとしか言いようがない。
かなり難解なシナリオなので、一回見ただけでは理解できないかもしれないので複数回見るべき映画なのかもしれない。
一番最後のシーンについては色々意見のあるところかもしれない。
ただ、先日既にインセプションを見た、と言う知人と議論した結果では。
(以下ネタバレ隠し)
この映画全体(最初から最後まで)が実は誰かの夢の中。
(最後のシーンでディカプリオが廻したコマは止まらない)
と言う結論に達したが、多分人によっては意見が違うのかもしれない。
久々に見応えのある映画だった。
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