Re:RXJ Station

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使いやすいユーザーインターフェースとは?

もうすぐ、iPhoneの第3世代、iPhone 3Gとしては2世代目(あぁややこしい)となるiPhone 3GSが日本でも発売される。

まぁ日本のガラパゴス化されたケータイとは機能が違うので受け入れられない、とかいろいろ言われたりしているけど、まぁ良くも悪くも話題になるデバイスであることは間違いない。
iPhoneでよく言われるのが「使いやすい革新的なインターフェース」という表現。

革新的?そうか?

iPhoneが出るずっと前から私はZaurusやらPalmやら片っ端からPDAと呼ばれるデバイスをさわり続けてきたけど、少なくとも単なるマンマシンインターフェースという意味でiPhone/iPod touchが特別に革新的だとはいえない。基本的なアイデアとしてはPalm pilotの頃から何も変わっていない。まぁ唯一マルチタッチでピンチイン/ピンチアウト出来たりするのは新しいと思うがそれ以外は特に新しいともいえない。

iPhone/iPod touchなんか使いやすそうに見える最大の要因は、操作の過程が見えるところにあるのではないかと思う。

たとえば

  • メニュー画面で、画面を左右にフリックすると隠された2ページ目、3ページ目のメニューが横からニョキッと出てきて切り替わる。
  • アプリ使用中にセンターボタンを押してアプリを終了すると、画面手前から覆い被さるようにメニュー画面が出てくる

何らかの状態遷移があるときに必ず、その状態遷移の課程が描かれている。

そんなの当たり前じゃん?と思われるかもしれないが我々が通常PCのWindowsや国産ケータイで操作するときの画面を思い浮かべてほしい。そういった画面遷移をちゃんと描いているGUIってある?

本当に小さなところだけど、画面遷移をちゃんと描画することで「操作の連続性」をユーザーが意識する。
「あ、この操作をするとこう動くんだ」
と言うのが体感で理解できる。これがiPhoneが「何となく使いやすいように見える」要因だと思う。


実はiPhoneに始まったことではなくて、Appleは以前からこういった状態遷移を描かせるのが得意だ。

たとえば、MacOS Xに搭載された Spaces & Expose。

デスクトップ上に散らばった数々のウインドウを整理したり、複数画面に分散させたりして自分の探しているウインドウをいち早く探すための機能だ。
Exposeをつかうと、画面中のウインドウが重ならないように少しずつ縮小しながら移動する。Spacesを起動すればカレントの画面が少しずつ縮小し複数の画面が次第に一画面の中に縮小される。Windowsでもデスクトップを複数持つアプリケーションは無いわけではないがここまで視覚的に分かりやすいものはないだろう。
Linux等のデスクトップ環境では最近CompizがUbuntu等のディストリビューションで流行っているが、元ネタはおそらくMacOS Xであろう。

こういったUIは実はAppleだけが得意なだけではなく、もう一つ得意「だった」ところがあるのをご存じだろうか?

それはSONY。walkmanやCybershot等のSONYのデジタル製品のインターフェースはこういった「ちょっとした状態遷移」を細かく描くことが結構うまかった。
有名なものと言えば、最近のSONY製品の多くで使われているXMB(クロスメディアバー)

あまり良い動画ネタがなかったのでアレですが、以前はSONY製品と言えば必ずと言って良いほど付いていたジョグダイヤル。ダイヤルをくるくる回すことでメニュー画面などが滑らかに回転し、素早く目的のアプリ等を選択することが出来た。

まだiPodとかがそんなに市民権を得る前は、「SONYのインターフェースは凄い」「使いやすい」というのが私の感想だったが、最近のSONYはジョグダイヤルも捨ててしまったし、XMBもさほど洗練されているとはいえない。何となく今のSONY自体を象徴しているかのようにパッとしない。

Appleだけがずば抜けてユーザーインターフェースが良いとは思わないのだが、iPhone等のようにユーザーが「何となく使いこなしている、と思い込ませる」良い意味で「姑息な」インターフェースを提供できているメーカーが他にいないのは事実だと思う。

日本のメーカーも技術力はあるのだから、こういったちょっとしたユーザーインターフェースのところで「やられた!」と思わせるようなあっと言わせるものを作れないものだろうか?